品川宿の面影が残る町並み

旧東海道・品川宿の面影が残る町、北品川をのんびり散策
北品川(東京都)

2016/07/07 更新

※情報は更新日時点のものです。施設や店舗の営業状況が変更されている場合があります。最新の情報は各施設や各店舗の公式ホームページでご確認ください。

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東海道第一の宿場、品川宿

皆さん「品川宿」をご存じですか?

「品川宿」とは、東海道五十三次と言われる江戸から京都間の五十三の宿の中で、一番目の宿場町です。江戸時代には“東海道の玄関口”として栄え、多くの人で賑わっていました。

下町風情のある商店街

2016年の品川宿。旧東海道は江戸時代と同じ道幅を保っています

現在は商店街になっており住民の生活の場になっていますが、今でもところどころに宿場町の面影が残っているんです。

今回は、そんな品川宿の名残りがある北品川周辺を、ひとりでゆっくりと散策したいと思います。

レトロで不思議な空間の「クロモンカフェ」【閉店】

※「クロモンカフェ」は、2022年1月に閉店しました

ぶらぶらと旧東海道沿いを歩いていると、黒門横丁を曲がったところに可愛いらしい看板を発見しました。

猫の看板がある民家のような建物

手書きの猫がいい味を出しています

看板に惹かれて中に入ってみると…。

レトロな木の階段

どこか懐かしい雰囲気

すぐに階段がありました。お店は2階にあり、靴を脱いで上がります。まるで誰かのお家にお邪魔しているような気分に。

2階にはお部屋が2部屋あり、手前と奥で分かれていました。

懐かしい雰囲気の和室

手前の部屋。畳でのんびりくつろげます

畳に座布団にちゃぶ台に扇風機…。親戚のおばちゃん家に来たような、昔ながらの品川の暮らしを体感できるノスタルジックな空間が広がっていました。

部屋の中には、漫画家さんやイラストレーターさんが描いた壁絵や襖絵もありました。

クルマと男の子の壁絵

漫画家・桐村海丸さんが描かれた壁絵。色彩がとても美しいです

カラフルなボーダーの襖絵

看板の猫も描いた深澤ユリコさん作。おしゃれな襖絵です

店内にはポストカードやシールを販売しているコーナーも。ギャラリーを見ているみたいで楽しいです。

壁に並ぶポストカードとシール

どの絵柄も素敵です。ポストカードは1枚150円

そして奥の部屋には、旧東海道が一望できる窓がありました。生まれも育ちも品川のオーナーさんが子どもの頃から憧れていた窓で、この窓があったからここを選ばれたそう。

外の道路がよく見える窓

一直線に旧東海道が見えます。特等席ですね

品川神社例大祭などお祭りの時にはお囃子が聞こえ、お神輿がよく見えるんだとか。素敵な窓ですね。

こちらのカフェでは、ドリンクだけでなくお食事を頂くこともできます。ランチは玄米をはじめ、体に優しいものが中心。オーナーさんのこだわりが感じられます。

カレーやトンテキなど

玄米と季節の野菜を使用したヘルシーなランチ

夜はエスニックやフランス料理が中心で、お酒の提供も。会社帰りにふらっと寄るのに良さそうですね。老若男女さまざまな方が来て、お客さん同士の交流も生まれるそう。

ポタージュやパテなど

夜メニュー。お酒に合いそうな料理が色々

昼は12時から15時(土日祝は17時まで)、夜は18時から23時まで(水・木はお休み)の営業です。※季節によって営業時間が変わりますので、行かれる前にホームページでの確認をおすすめします

週末には不定期でイベントも行われていますので、気になった方はチェックしてみてくださいね。

壁に貼られたポスター

耳かきのイベントも。気になります

「クロモンカフェ」はスタッフさんもあたたかく、ホッと落ち着く通いたくなる場所でした。また、北品川に来た際には立ち寄ってみたいと思います。

旅と街道をテーマにした「カイドウ ブックス&コーヒー」

クロモンカフェから旧東海道に戻り、新馬場方面へ。まっすぐに歩いて行くと、オシャレなお店を見つけました。

レンガ造りの建物

オープンな雰囲気のお店です

近寄って何屋さんなのか確認すると…。

本などが置かれた店頭

店頭にも店内にも本が

カフェと本屋さんが一体となった、「KAIDO books&coffee」というブックカフェでした。

足を踏み入れると、1階の壁にはスペイン地方のバスクに関する展示がありました。

バスクの本や雑貨が並ぶコーナー

バスクの料理などについて紹介されています

バスク料理のレシピ本

本場のレシピが載った本も。バスク料理という名前は初めて耳にしました

オーナーさんに聞くとこちらの壁は展示スペースになっていて、期間によって内容が変わるそう。また、週末を中心に展示と連動したイベントも開催されるとのこと。色々な人のイベントの場や交流の場になっているようでした。

奥にある階段で2階に上がると、大量の本が目に飛び込んできました。

図書館のような空間

本棚に囲まれています

まるで図書館みたいですね。北海道から沖縄まで地域の風土や文化、歴史に関する本を中心に、さまざまなジャンルの本が置いてありました。

本棚に陳列された写真

中には地方の自治体や観光協会などとタイアップしているコーナーも

本は1万冊以上あり、ほとんどが旧東海道沿いにある古書店「街道文庫」のものだそう。すべて自由に手に取って読むことができ、気に入れば購入することも可能です。

本がびっしり詰まった本棚

何を読むか迷ってしまいますね

どちらの本も興味深く、長居してしまいそうなラインナップです。ローカルな魅力が詰まった本が多く、読んでいるとふらっとひとりで旅に出たくなります。

品川宿のコーナー

品川宿に関する本が置いてあるコーナーもありました

こちらのお店は本だけでなく、コーヒーにもこだわりが。豆は熊本や鎌倉など全国のロースターさんから選んだものを使用しており、常時、浅煎りから深入りのものまで4種類のコーヒー豆を用意されているそう。

コーヒーをドリップする男性

地元が北品川のオーナー佐藤さん。お客様の好みに合わせて煎れてくれます

“酸味のあるコーヒーが好き”と伝えたところ、ルワンダの豆でコーヒーを淹れてくれました。浅く焙煎すると酸味があり、深く焙煎すると酸味が消えていくそうです。

ホットコーヒーとお菓子

スペシャルドリップコーヒー500円。隣は品川白煉瓦をイメージしたクッキー

「KAIDO books&coffee」は昨年の8月にオープンした新しいお店ですが、すでに町に定着しており、地元の年配の方もコーヒーを飲みに立ち寄られていました。ただのブックカフェではなく、地域の人の交流の場になっているようです。

家の近くにこのような場所があれば…とご近所の方をうらやましく思いながらお店を後にしました。

手作り和菓子と美味しいお茶が味わえる「一福桃」

「KAIDO books&coffee」から旧東海道を新馬場方面にさらに進むと、左手に「一福桃(いっぷくとう)」という和菓子屋さんがありました。

モダンな外観の和菓子屋

延命院一心寺の隣です

お店をのぞいてみると、オーナーさんがどら焼きの皮を焼いているところでした。

大量に並ぶどら焼きの皮

どら焼き「福かさね」の皮。ふっくら美味しそうです

ひとつひとつ、銅版で丁寧に手焼きされていました。“わが子に食べさせても安心なものを”という考えの元、添加物は一切使っていないそうです。

皮だけでも美味しさが伝わり食べたくなったので、ひとつ頂くことにしました。

木の椅子とテーブルがある店内

テイクアウトもできますが、店内に席がありイートインも可能

厚みのあるふっくらしたどら焼き

福かさね150円。餡は北海道産の大納言や京都老舗の水飴を使用

ふっくらとした生地に大粒の粒あんがたっぷり入っていて、一口食べると、優しい味が広がりました。甘過ぎず、癒される味です。

「一福桃」では、どら焼きだけでなくお茶にも力を入れており、高級茶である「かりがね茶」を手頃な価格で楽しむことも。福かさねとお茶が楽しめるお得なセットもあるので、来られた際にはチェックしてみてください。

また、「かりがね茶」は店頭で茶葉も販売されています。

浮世絵パッケージのお茶

オリジナルの品川宿パッケージのかりがね茶(500円)

お土産にぴったりですね。日本茶だけでなく、「ティート」という珍しいドライフルーツのお茶も販売されていました。

棚に並ぶ紙袋に入ったお茶

元々はエステなどで開発されたお茶です

飲むだけでなく、実も食べられるんだとか。女性だけでなく、年配の男性にも人気があるそうです。

そして、店内には江戸や品川宿に関する本や資料が置かれていました。

本が詰まったスリムな本棚

「江戸っ子事典」や「浮世絵の歴史」などがありました

ファイリングされた資料

オリジナルの品川宿の資料も。品川宿について分かりやすく書かれています

お店に来られたお客さまに、品川宿についてお話されているそう。品川宿について興味がある方は、ぜひ、オーナーさんと話してみてくださいね。北品川生まれ北品川育ちのオーナーさんが詳しく教えてくれますよ。

「一福桃」では美味しいどら焼きとお茶が味わえただけでなく、品川宿のことを知ることができ、楽しいひと時が過ごせました。不定休なので、行かれる前にこちらのチェックをおすすめします。

散策の休憩にぴったりな「品川宿交流館」

東海道北品川の交差点を渡り、さらにまっすぐ行くと「品川宿交流館」という建物が目にとまりました。

黒い壁のビル

江戸の風情がある建物です

中にお邪魔してみると、長椅子が並ぶ休憩スペースがありました。

赤い毛氈敷きの椅子が並ぶ部屋

座ってゆっくりとくつろげます

スタッフの方に伺うと、ここは“旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会”が運営する、誰でも利用することができる無料の休憩所&観光センターとのこと。

飲食物の持ち込みは不可ですが、館内で販売されているものは飲食可能です。

ソースせんべいやラムネなど

飲みものや駄菓子などが販売されています

ちょっと休憩するのにぴったりな場所ですね。また、こちらには品川宿散策の方に人気の「まち歩きマップ」(50円)や品川宿の歴史が書かれた冊子などが置いてありました。

棚に並んだ様々な冊子

有料のものから無料のものまであります

品川宿の観光情報が集まっていますので、場所を確認したい時や、次に行くところを決めたい時にもおすすめです。

また、2階には品川宿の歴史や文化などを紹介する展示がありました。こちらで休憩される際には、のぞいてみてはいかがでしょうか。

与太郎の写真や解説

品川の繁栄を図り、“東海七福神”を創設した有坂与太郎氏の展示

ポストカードや地図など

昔の写真や資料なども展示されています

品川宿が描かれた様々な浮世絵

2階の壁には品川宿の四季が描かれた浮世絵も。浮世絵から当時の人の暮らしが伺えます

「品川宿交流館」は地元の方も訪れていて、住民の憩いの場にもなっているようでした。営業時間は10時から17時まで。月曜日は休館ですので、ご注意を。※月曜が祝日の場合は翌日休館

黒湯の天然温泉に入れる「天神湯」

帰る途中、山手通り沿いに銭湯があったので、立ち寄ってみました。

木の壁がある入り口

京急線「新馬場駅」から徒歩3分の場所にある天神湯

ウッディーな外観で、“昔ながらの銭湯”というよりも、おしゃれでモダンな雰囲気です。

おしゃれな雰囲気の玄関

入口で靴を脱いで上がります

木のカウンターがあるフロント

キレイなフロント。ここで入浴料を払います

入浴料は大人460円、小学生180円です。何も持ってきていなかったのですが、フロントでタオルなども購入できました。手ぶらで気軽に立ち寄ることができますよ。

袋に入ったお風呂セット

お風呂セット(タオル、ボディソープ、リンスインシャンプー)120円※リンスインシャンプー、ボディソープは平日のみ備え付けあり

浴場は2階にあります。フロントで入浴料を払ったら、脇の階段を上って2階へ。

季節の飾りなどがある店内

インテリアもおしゃれ。エレベーターもあるので、ご高齢の方でも安心ですね

浴場は明るく清潔感があり、落ち着いた雰囲気。思わず長風呂してしまいそうな空間です。

グレーのタイルの浴室

気泡が湧き出していて、体が芯まで温まります

奥には地下100メートルから汲みあげている、黒湯の天然温泉も。

扇のような形をした黒湯の浴槽

8年前に改装した時に偶然にも黒湯が湧き出たそう

黒湯は古生代からの植物が分解されて有機物となり、それが地下水に溶け込んでできた温泉。東京の温泉は黒湯が多いですが、「天神湯」の黒湯は特に濃い色をしていました。

手にすくった黒湯

真っ黒です。泉質はナトリウム炭酸水素塩冷鉱泉(低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)

色だけでなく、成分も都内で一番濃いそう。健康に良さそうですね。こちらに通い、冷え症が改善された方もいるんだとか。

ミネラル分が豊富なためか、乾燥肌の私でも湯上り後も肌がしっとりしていました。聞くところによると、美人の湯とも呼ばれているそう。女性にもおすすめのお湯です。

入浴後は、牛乳を飲んでロビーでくつろぎました。最近は牛乳を置いていないところも多いので、うれしいですよね。

牛乳の自動販売機

フルーツ牛乳もありました

お湯に浸かり、散策の疲れが癒されました。時期によってはタイムの湯やしょうぶ湯などを行っている日もあるそうなので、また訪れたいと思います。

※定休日は金曜です

北品川は“ひとの町”でした

北品川散策、いかがでしたか?

北品川の人は皆さん気さくに接してくださり、人を通じて、品川宿のことや現在の北品川を知ることができました。

さまざま人を受け入れてくれるオープンな“宿場っ子気質”な方が多いので、ぜひ、散策の際には話しかけてみてくださいね。

今回は北品川を中心に散策しましたが、旧東海道はまだまだ続いていますので、次回は鈴ヶ森のほうまで足を伸ばしてみたいと思います。

※この記事は2016/07/07時点のものです
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