クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.061

タイムズから行く、春の鎌倉

タイムズから行く、春の鎌倉

新緑の鎌倉へ

桜は散ってしまったけれど、私はそれに負けないくらい木々の新緑が好き。つらく長い冬を越えながらも蓄積してきた自然の力が、いっせいに萌えだすこの時期。新緑には、生きるものの力を感じます。すがすがしい日の光に照らし出される、その姿。葉の周りには、オーラのような黄色から緑のグラデーションを見ることができます。それはまるで生まれたばかりの天使の輪のよう。この稀有な姿を見られるのは、もしかしたら桜が花開く時間よりも短いかも。私は、鎌倉へと向かっています。

新緑を見るのなら、山でも?と思われるかもしれませんが、山には杉などの常緑樹が多く、春だからといってその色づきを変えることはありません。鎌倉には、長年人々に愛され続けた様々な落葉樹が、訪れる人の目を楽しませてくれるのです。
さっきまで空を覆っていた雲の隙間から、青い空が斑点のように染み出してきました。一番の不安材料だった天気も克服されたのは何よりです。

春の彩りに包まれる妙本時

タイムズ鎌倉小町第2にクルマをとめ、心躍らせながら今日の旅が幕を開けます。
歩いて5分ほどで、子供たちの歓声が聞こえてきました。妙本寺の境内にある幼稚園です。八角形の屋根を持つ、特徴的な園舎。こんな素敵な幼稚園があるのですね。その向こうには、鬱蒼とした境内の森が見えます。1本の木でも陽の光が当たるところは、白から黄色へ、少し陰になったところは、深い緑に。そのバックを彩るのが春の青空です。自然が描き出す光景はとても複雑で鮮やかです。ため息がでそうなほどの美しさです。
妙本寺の山門は、残念ながら改修中で見ることはできませんでしたが、本堂前にはまだ桜の花がいくらか残っています。ピンクの花と緑が美しく絡み合い、硬質な感じがする本堂の屋根に不思議な彩りを与えています。屋根の下から見上げると精緻な木彫とモミジの新緑がその美しさを競い合っているかのようでした。

再生する大銀杏を確かめました

鶴岡八幡宮に行くなら、やはり有名な参道である段葛(だんかずら)を歩きたいところ。妙本寺からぐるりと遠回りをして段葛を歩きました。段葛の桜は、まだいくらか花を残しながらも、新緑はまだのよう。同じ鎌倉といえども、妙本寺とは散る時期も違うようです。
大鳥居に一礼をして、美しい太鼓橋を横目に歩くと、拝殿と本宮が見えてきます。この段葛から連なる一直線の統一感は、心地よいもの。800年以上も前に、これだけ正確な建築ができたことに驚きます。
そして、気になっていた大銀杏。覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、1年ほど前に強風により倒れてしまった八幡宮ひいては、鎌倉のシンボルだった大樹です。その後再生が図られ、今ではもとあった根元部分も、隣に移植された幹も生を絶やすことなく、新たな芽が力強く伸びています。私は、もしかしたら大銀杏の新芽を見られるかと思ったのですが、写真の通り、今年の新芽はまだのようでした。でもきっと今頃は、かわいらしい緑の葉が顔を出しているはずです。

本宮でお参りをして、八幡宮の境内を改めて歩いてみると、新たな見所に気が付きました。平家池の向こうに見える神奈川県立近代美術館の建物です。世界的にも有名な建築家、ル・コルビジェの愛弟子、坂倉準三による設計です。ご覧の通り、かなりモダンなのですが、なぜかこの八幡宮にうまく溶け込んでいるように思えました。この美術館と源平池は映画「ノルウェイの森」のロケでも使われたそうです。

鎌倉でショッピングとランチを楽しみます

段葛を再び歩くと、ちょっとかわいいお店を見つけました。「拭ぅ(ぬぐぅ)」という手拭いの専門店です。和風のテイストを感じさせながらも、現代的なデザインのかわいらしいものばかり。お店の方に伺うとハンカチやタオルの代わりとしてはもちろん、ランチョンマット、タペストリーのように壁に飾るのもありだとか。今回は、こちらの10種類の手拭いを読者プレゼントとして頂きました(プレゼント欄はこのページの下です)。

お昼ご飯は、小町通りからちょっと入ったところにある小さなイタリアンレストラン「日女(ひめ)・伊食酒房」に伺いました。私が頼んだのは「鎌倉野菜としらすの和風パスタ」。ちょっと不思議な組み合わせですが、さっぱりとしたお醤油風味のパスタに、鎌倉名物のしらすの組み合わせは絶品でした。
ちなみにこの2店舗は、タイムズの駐車サービス提携店ですので、絶対に立ち寄る価値がありますよ。

江ノ電に乗って、大仏様に会いに

今回もそうですが、鎌倉にはいつもクルマで来るので、テレビや雑誌でたびたび紹介される江ノ電に乗ったことがありませんでした。江ノ電は、藤沢と鎌倉を結ぶ2輌もしくは4輌編成のローカル列車です。鎌倉から長谷まで、わずか3駅ですが、ちょっと思い切って乗ってみました。噂に聞いていた通り、本当に民家の軒先をかすめるように走っていきます。そしてゆっくりです。途中には無人駅がありました。東京からさほど離れていない街に、こんなのんびりした列車が走っているなんてちょっと不思議でした。大仏様を見るのは、久しぶり。以前見た時は、雨降りだったのであまり落ち着いて見られなかったことだけが記憶に残っています。だけど今日は打って変わって、快晴です。澄み渡った青空と木々の新緑をバックに、大仏様はとても神々しく見えます。うつむき加減の眼差しは、もちろん瞑想にふけっているのだと思いますが、今日に限っていえば日向ぼっこをしながら気持よさそうに目を閉じているようにも見えました。

アジサイはまだですが、美しい花に彩られた長谷寺

大仏様のあとは、あじさいで有名な長谷寺を訪ねました。境内ではまだ枝垂れ桜がわずかながら花を残し、初春の面影を残しています。ゆっくりと階段を上り、観音堂で日本一大きな木造の長谷観音にお参りをします。この観音様は撮影禁止だったので、その姿を伝えられないのですが、金色に輝くその姿はまさしく神々しいものでした。そして有名なあじさいにはまだ早いだろうと思ってのぼった散策路。もちろん、まだアジサイは咲いていなかったのですが、その代わりに「シャガ」という小さな白い花が一面に咲き誇っていました。小さなユリのような可憐な花びらは蝶々のよう。風が吹くとまるで、無数の蝶々が飛びかっているようでした。

最後の一枚は、数年前に長谷寺を訪ねた時のアジサイの写真です。本当に見事なものでした。今年は、私もこの季節に再訪させてもらいたいと思います。


※この記事は2011年5月11日現在の情報です

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