クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.057

冬の横浜 ぶらり旅

冬の横浜 ぶらり旅

潮風に吹かれながら、山下公園~氷川丸へ

冬の天気は思ったよりも落ち着かないもの。昨日までの天気予報には期待が持てたのに、横浜を覆う空のご機嫌は、ちょっと斜めなまま。だけど、私は久しぶりの横浜とあって意気揚々です。異国情緒漂う街並みに、ロマンチックな港の風景、そして日本随一の中華街。東京からわずかな距離にあるにも関わらず、こんなにも違う空気感を持っているなんて、それはもう特筆ものです。だから、私の期待も天気に負けず高まるのです。
横浜に来た時は、お決まりのようにクルマをタイムズステーション横浜山下町にとめます。中華街の真ん前にそびえ立つ、大型駐車場です。

さぁ、まずは腹ごしらえと行きたいところですが、まだまだ朝といっても良い時間。お店は準備中の札がかかったまま。それではと向かったのが、山下公園前に停泊している日本郵船氷川丸です。

戦前の客船の姿を今に伝える、日本郵船氷川丸

今では多くの人が気軽に海外へ飛び立ちますが、20世紀の初頭は本当に選ばれた人たちだけが海外へ渡航していました。日本郵船氷川丸竣工当時、横浜からシアトルまでの片道運賃は一等で約500円。当時は1,000円あれば家が建ったそうですから、海外渡航は相当なもの。
そんな今風にいえばセレブな方々を載せた氷川丸の船内は、まさしく豪華。一等食堂の白亜の天井にはめ込まれた天窓が、明るい陽光を呼び込みます。シックな装いの壁や柱には精緻な木彫が。これはアールデコ様式と言って、20世紀初頭に西洋で流行した様式とのこと。食卓にはダミーとはいえ、当時の食事が再現され、いかに優雅な船旅であったかを想像することができます。

また、美しいカーブを描く階段の手すりにも目を奪われます。階段は上階と下階を結ぶ、ドラマチックな空間であることをデザインが主張しているかのようです。また著名人が利用した一等特別室も、目を奪われるような豪華さ。ステンドグラスがはめ込まれた室内は、優雅な時間が今も止まることなく流れています。このほか機関室や船長気分を味わえる、操舵室など見所のつきない日本郵船氷川丸でした。

横浜のシンボル、横浜マリンタワー

お次は横浜マリンタワーです。氷川丸からは徒歩5分ほど。横浜開港100周年記念事業の一環として1961年に生まれ、その50年後にあたる昨年、リニューアルした横浜のシンボルともいえる全長106メートルのタワーです。1階~4階はおしゃれな街、横浜を体現したようなレストランやバーが並んでいます。でも、やっぱり最初に立ち寄りたいのは展望室。お~、さっきの氷川丸が小さく見えます。山下公園って植栽があんなにキレイだったんだ。北西の方に目を向ければランドマークタワーやパシフィコ横浜が近未来な雰囲気をアピールしています。その逆側の本牧ふ頭では無数のコンテナが、物流の基地でもある横浜の男っぽさを体現しています。こうやって改めて横浜の街を見渡すと、さまざまな要素が絡み合っているのが良く分かります。そして、その象徴とも言えるのが、横浜中華街です。

中華街でフカヒレ食べちゃいました

日本でも最大規模の横浜中華街は、中華料理店だけでも200店舗以上にのぼるとのこと。今日は平日の昼間ですが、観光客も多く、呼び込みの声も高らかに響き渡ります。私が選んだのは、タイムズステーション山下町の提携店でもある「フカヒレ専門店 廣翔記(こうしょうき)」さん。ランチタイムメニューですがフカヒレの姿煮が味わえるんですよ。どうですか、この大きな三日月のような神々しいフカヒレ。お箸をゆっくり動かして慎重に口に運ぶと広がる、濃厚な味わいと、独特の歯ごたえ。しかし、それを楽しめるのも束の間。口の中で、ゆったりと溶けていきます。あ~、これが幻の食材とも言われるフカヒレか~。普段はちょっと早食いの私も時間をかけてゆっくりと食べ、至福の時間を少しでも引き延ばそうと努力をしました。

横浜大世界でトリックアートの世界へ

お腹をいっぱいにした後は、同じく中華街にある横浜大世界へ。こちらは、エンタテイメント、食、美、ショッピングなどなど中華街を丸ごと楽しめる大型施設です。こちらのオススメはなんといっても3Dシアター。平面なのに飛び出す、びっくりアートが目白押し。額縁から飛び出して見える恐竜の絵や、目の錯覚を利用した座れない椅子などなど、心底楽しめるものばかり。私も一人なのに結構はしゃいでしまいました。それと、中華街では随一の品揃えを誇るお土産もの屋さんでは、ショップ限定グッズもズラリ。中華街に来たら、ぜひとも足を運びたいところですよ。

エリスマン邸で横浜の歴史に思いを馳せる

お次は、中華街の喧騒を離れて山手の方へ向かいました。こちらは、高貴な雰囲気が漂う昔ながらの洋館が建ち並んでいます。私が訪ねたのは、その中でもひと際美しいエリスマン邸。白い壁とブルーの屋根、鎧戸が印象的な邸宅です。建てられたのは1925年ということですから、先の氷川丸と同世代と言えます。室内は、ゆったり広々。今も息づく西洋の薫りが私の心を和ませてくれます。窓から眺める木々は、すでにほとんど葉を落としているものの、秋の面影を残しています。エリスマン氏の暮らしに触れると、私の心が想像を働かせました。恐らく、この屋敷も戦争など、色々な変遷を経て現代になり公開されることになったのでしょう。そんなことに思いを馳せると、横浜という街がさらに不思議に思えます。船、港、中華街、山手の洋館、どれを取ってみても日本古来の文化とは少し離れたものばかりですが、それをすんなりと受け入れ育んできた横浜という街。その懐の深さが私たち観光客のことを、やさしく見守ってくれている要因なのかもしれませんね。

気が付けばもうすっかり夜。みなさんによこはまコスモワールドの観覧車の美しさをお見せしたくて、一生懸命に写真を撮ってきました。これをお別れの一枚にさせてもらいます。それでは、次回をお楽しみに。



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「たのしい街 特別版」として、横浜を大特集。タイムズがオススメする横浜観光ガイドをぜひとも、ご活用ください!


※この記事は2011年1月12日現在の情報です

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