クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.055

マツダレンタカーで行く、郡上八幡の旅

マツダレンタカーで行く、郡上八幡の旅

雨の似合う街があります

人の気配も薄く、聞こえるのは道を濡らす雨の音と、時折通り過ぎていく、クルマの走る音。つげ義春の漫画のようなコントラストの強いモノクロームの街並みが、傘の向こうに見えます。間口の狭い戸建てが数センチと間を空けずに整列しています。

ここは岐阜県の郡上八幡(ぐじょうはちまん)。東京から名古屋までは新幹線。名古屋からは東海道本線に乗り換え岐阜駅までは約30分。そこからは、マツダレンタカー岐阜駅前店で、いつものデミオを借りて、東海北陸自動車道を北へ。雨の中、いくつものトンネルを通り抜け、走りました。

ここに街があるのだろうかと、疑いたくなるような山の中に忽然と現れたのが、郡上八幡です。導かれるまま橋を渡ると、古い街並みが私を取り囲んでいました。デミオをとめたのは郡上八幡旧庁舎記念館前の駐車場。今は観光案内所。昔は村役場。係の女性からガイドマップをもらい、そのついでに見所を赤いペンでチェックしてもらいました。

人を誘う水路

「今日は雨ですが、水は濁っていませんよ」。その言葉のまま旧庁舎の裏手にある「いがわこみち」へ。家と家の間を流れる幅1メートルほどの水路です。入口には、小さな小屋があります。きっと共同作業場。洗濯などをするのでしょう。言葉にしてみれば、ただの水路。だけど、それだけなのに人を誘う。心がサッと洗われています。
少し歩を進めると、錦鯉が水の中をゆったりと泳いでいます。上流の方へ頭を向け、静止しているかのようです。その数は恐らく数十匹。皆、急に下がった水温のせいなのか、身を寄せ合っているかのように見えました。

橋を渡りました。その名前は新橋。郡上八幡の街の中心を流れる吉田川に架かっています。水面からの高さは約13メートル。夏になると、子供たちが度胸試しで飛び降ります。テレビなどでも、紹介されることがありますよね。川岸から見ると、さほどでもありませんが、上から見ると目まいを起こしそうな高さ。ここから飛び込むなんて、私には到底できません。

趣あふれる街並みと小みち

一度来た道を戻ることになりますが、商店が立ち並ぶ新町を歩きます。名前の通り、こちらが新市街ということなのでしょうが、心の奥底に残っているレトロな空気を感じます。コンビニやファーストフードのお店はありません。小ぢんまりとした個人経営と思われるお店がひっそりと軒を連ねています。この通りにぶつかる一本の小みちが「やなか水のこみち」です。小さな神社まで続く石畳の参道が、しっとりと雨に濡れています。わずか30メートルほどでしょうか。しかし、この趣あふれる小道、心惹かれるものがあります。私だけではないのでしょう。水路脇には、この雨にも関わらずスケッチをする人と、そしてカップルが身を寄せ合い相合傘で、記念撮影をしています。私もカメラのシャッターを何枚か切った後、心でもシャッターを切り、印象へと刻みました。

名水を口に含む

水の街、郡上八幡で、一番有名なのが宗祇水(そうぎすい)。室町時代、連歌の達人飯尾宗祇が近くに庵を構えていたのが由来とのこと。小さな祠から流れる清流は、環境省選定の名水百選の第一号として指定されたもの。私も口に含ませてもらいました。水の味をどう表現して良いのか分かりませんが、まったくクセのない清らかな味わいです。きっと数百年前から変わらぬ味。舌から歴史に思いを馳せながら、旧市街の鍛冶屋町・職人町の街を歩きます。格子戸の家がまだまだ現役で残っています。軒先には、先の飯尾宗祇の影響なのでしょう。ザルの上にこの街にちなんだ歌が書かれた色紙が掛けられています。とても、良い感じです。水や季節、そして踊り、どれもここ郡上八幡に暮らす人にしか書けない歌であるのが分かります。

郡上おどりに憧れて

郡上八幡博覧館へたどり着きました。もしかしたら最初に訪れた方が良かったかもしれません。優に1000年以上はさかのぼれる街の歴史や、全国シェアの大半を占める食品サンプルの製造、伝統工芸品である釣り道具や染め物などが紹介されています。さらに、必見なのが水の街とともに郡上八幡の名を知らしめている郡上おどりの実演です。

郡上おどりは400年もの歴史を誇る日本三大盆踊りのひとつ。毎年7月中旬から9月中旬にかけて32を数える夜に踊られ、そのうちの4日間は徹夜で踊り続けられるとのこと。
実演会場へ足を運ぶと、水色の浴衣を着た2人の女性が丁寧に郡上おどりの歴史などを説明してくれます。そして、私たち見学者も椅子に座りながらですが「かわさき」を踊ります。最初はちょっと気恥ずかしさがあっても、一連の振りが二回りもすればかなりやる気になってくるもの。脇に汗を感じたあと、頬がゆるみ、そして指先がピンと伸びていきます。だけど、座ったままという、ちょっとその消化不良な感じが私の欲望を刺激します。来年の夏までに、私も郡上おどり10曲の振り付けを覚えて、再訪したくなりました。

帰りたくないな

最後に訪ねたのは、郡上八幡城です。長い長い坂道を登り、ようやく天守閣に辿り着きました。見下ろす郡上八幡の街。山間の街。大きなビルはほとんど目につかず、民家が密集しているのがよくわかります。雨はまだ降り続いています。山には雲がかかっています。街に辿り着いた時と、きっと街の風景は変わっていません。だけど、私の心は変わっています。そして、ため息がでました。帰りたくないな…。



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※この記事は2010年11月10日現在の情報です

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