クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.051

タイムズ&ロードスターで行く北海道ロングドライブ vol.2

タイムズ&マツダレンタカーで行く北海道ロングドライブ vol.2

旭川から黒いロードスターを東へ走らせます。目指すはオホーツク海の街、網走。国道39号線の一本道。フロントガラスには雨粒が落ち、アスファルトは濡れてさらに深い黒に染まっていきます。まばらだった人家はもちろん、畑すらついえ、視界に入るのは道と木々だけ。自然の美しさを感じながらも、人の気配のなさに孤独感を覚えます。ようやく心休まったのは、道沿いに花を咲かせていたソメイヨシノを見つけたとき。雨で煙る空気の中に、可憐な花がふんわり浮かんでいます。まだ、植えられたばかりなのでしょうか。背丈は、私と同じくらい。長い冬を越え、ようやく咲いた花に少し元気づけられました。

曇り空の下の網走湖を抜け、網走の街に着いたのは夕方。中途半端な時間に着いたため特に見学できる施設もなく、あてどなく港へ向かいました。人の気配がない港の片隅で見つけたのは、色とりどりのブイの山。海から引き揚げられたばかりなのでしょう。藻なのか小さい貝なのか、細々としたゴミが張り付き、強烈な潮の匂いを放っています。何枚か写真を撮り、クルマに戻ろうとすると、今度は一匹のキツネ。生まれて初めてキツネと目が合いました。何か餌をねだりたいのか、向こうから距離を詰めてきて懇願するような目で、こちらを見つめてきます。しかし、上げられるような物は何もありません。写真を撮るために、今度はこちらが距離を詰めると、大きな尻尾をこちらに向け、音もなく向こうへ走り去っていきました。人慣れしたキツネと、キツネ慣れしない人。不思議な出会いでした。

翌朝、カーナビに有名な観光施設を見学するつもりで「網走刑務所」と入力しました。駐車場にロードスターを置き、橋を渡ると、ガイドブック通りの赤レンガの壁。「名誉及び人権保護のため被収容者の撮影は厳禁します」の看板が。おっと、本物ぽいなと感心。しかし、入場料を払うゲートも、係員らしき人影も、どこにも見えません。そして立入禁止のエリアがあまりに多いこと。ここでようやく、気づきました。ここは受刑者を今も収容している本当の刑務所。一般公開している観光施設の網走監獄とは、名前こそ似ているものの違うところだったんだと。

さて、こちらは網走刑務所からクルマで10分ほどの入館料1,050円の網走監獄。先の網走刑務所ほどの緊張感はありませんが、やはりそこは監獄、独特の雰囲気があります。網走刑務所から移築もしくは再現建築された建物が並んでいる網走監獄は、見所がもりだくさん。五翼放射状平屋舎房は、明治45年に建築され、昭和59年まで実際に使われていた監獄をそのまま移築してきたもの。この五翼とは、中心を一つにした五つの直線の舎房がならぶ監獄のこと。中心に見張小屋があり、そこから全ての舎房が一望できる作りになっているのです。舎房の内部まで見学が可能で、実際に扉を開け中に入り受刑者気分を味わうこともできます。

また格子は、斜め格子というひし形の格子がはめられ、廊下を挟み向かいの舎房が見えない(共謀できない)作りになっている念の入れようです。しかし、それでも脱獄する凄い?人はいるもの。視察孔というわずか30cmほどの隙間から肩の関節を外して脱出し、天窓のガラスを突き破り逃走した脱獄囚がいるのです。この事件は有名になり小説「破獄(吉村昭著)」などでも、取り上げられたほどでした(私も読みましたが、この本凄く面白いです)。 ほかにも真っ暗闇の独居房、三列縦隊で入浴~洗体~入浴が順に進められる雑居浴場、さらに現在の網走刑務所の収容室も再現されるなど、とにかく見所がたくさん。こんなにも監獄・刑務所見学が面白い、興味深いとは自分でも驚きでした。

左手にオホーツク海、右手に冬になると白鳥が飛来する濤沸湖(とうふつこ)が広がっています。海と湖のわずかなスペースを釧網(せんもう)本線の線路と並走しながら真っすぐな一本道を行きます。途中、止別駅を覗くと時刻表には、上下線ともに1日にわずか9本が記載されるのみ。しかし、駅員さんこそいないものの駅舎の半分はなぜかラーメン屋さん。店を覗くと、若い女の子が働いているのも古い駅舎とはアンバランスで不思議でした。駅のテナントと言えばそうなのですが…。

斜里で釧網鉄道と別れを告げて、人の気配も疎らになった知床半島へロードスターは入りました。

知床半島は北海道の北東、サイの角のように突き出た半島です。2005年に世界自然遺産に登録されています。そう、北海道の中でも有数の自然の宝庫です。ただし、それは美しさだけでない、他の要素も含んでいるということ。そのことを私が実感したのが知床半島最大の滝、オシンコシンの滝。崩落のため、駐車場にロードスターをとめることすらできず、まったく見られませんでした。そして、この旅で一番期待していたスポット、知床五湖の散策は、知床自然センターに問い合わせるとクマ出没のため、散策不可とのこと。いつ行っても開いているアミューズメントパークとは違うのです。仕方ない。でも悪いことがあれば良いこともあるもの。その日泊った宿では、思いもかけなかった毛ガニが登場!これに気を良くして、翌日の幸運を願い早めに床につきました。

港近くの駐車場にロードスターをとめて、朝一番の遊覧船に乗り込みます。団体の観光客を乗せたクルーザーは、思いのほかのスピードでウトロ港を離れていきます。20メートル以上はあろうかと思われる断崖は、完全に見る者を圧倒します。そして、奇岩や数々の滝。人の手が入っていない自然の迫力を肌で感じます。遠くに見える羅臼岳は、まだまだ冠雪したまま。崖の上には、新緑をたたえた緑。飽きることなく船窓にかじりつきました。 大満足の船旅は、およそ1時間半で終了。しかし、それとは裏腹にロードスターは白いまだら模様になっていました。カモメの大群に雨あられのごとくフンを落とされていたのでした。これも北海道の自然の洗礼かも。でも、駐車場の係員の方が気の毒に思ってくれたのか、その場で洗車させてくれたので、また黒くはなりましたが。マツダレンタカーさん、ごめんなさい。

続いては気を取り直して、知床五湖に向かいます。確認をすると、やはりクマ出没のため五つの湖すべてを見学することはできないものの、最初の一湖へは空中木道があるため見学できるとのこと。それだけでもと思い、向かいました。駐車場からはおよそ1kmの道のりです。途中、鹿の親子を見つけたり、美しい水たまりほどの池に感動したり。そして一湖へ。湖というには小さなものですが、何の混じりけもないような水に青い空と白い雲が映し出され、その向こうには新緑の木々、そしてケーキのような羅臼岳が姿を現しています。姿も見えぬ残りの四つの湖に未練を感じますが、快晴の中ここだけでも見学できたのは、最高の幸せ。世界自然遺産の真骨頂とも言える景観でした。

これが一湖です。美しさに説明は要りませんね

ここで昼過ぎ。飛行機は19時半。残りの数時間はただひたたら、ロードスターとともに走り続けました。先の羅臼峠を目指して、知床半島を縦断します。徐々に標高があがり、肌寒さを感じます。そして、ガッツリ残っている雪。ソリ遊びくらいは楽に楽しめそうな量です。木々の芽も未だ堅く閉じたままです。

山を降りて、羅臼町では海鮮丼を平らげ、そして煙った空の向こうに北方領土の国後島を見つけました。続いては摩周湖へ。運がよいのか悪いのか「霧の摩周湖」ではなく、晴天の摩周湖です。そして、そのまま屈斜路湖へ。ひと気のない静かな湖を見ると、自分があと数時間で北海道を離れなくてはならないことを実感して、悲しくなります。美幌あたりの美しい畑を見るとその思いは強くなり、帰りたくなくなります。このままロードスターと駆け落ちしようかなと思いましたが、ロードスターにはその気がないらしく夕暮れ時には、女満別空港へたどり着いてしまいました。そしてわたしは機上の人に。あのロードスターは、きっと、ほかの誰かと夏の北海道を満喫しているのでしょう。

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※この記事は2010年7月06日現在の情報です

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