クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.037

春の南伊豆小旅行

春の南伊豆小旅行

高速料金の大幅割引は来週からだから、今週は絶対に空いてるはず。しかし、世の中分からない。同じように考えた人がこんなにも多いとは。それは、目の前に連なるクルマの列が物語っている。首都高、東名は言うに及ばず大渋滞。時速50km以上で走れたのは、小田原厚木路道路のみ。真鶴道路、伊豆の海岸線を走る国道135号は、おそらく自転車で走った方が早かったろう。

でも、これはこれでメリットも多い。迫りくる崖に怯えてみたり、陽の傾き具合によって表情を変える海を少しゆったり眺められるのも渋滞のお陰。そして、これって何だ!?(たとえば伊東で見つけた野生の王国←おそらく博物館、怪しい少年少女博物館)などという、発見もある。
しかし、予定は狂っていく。12時には伊東に寄ってシャボテン公園に行こうと思っていたのが、伊東に着いたのは14時過ぎ。これだと、伊豆の南端、宿泊予定の下田へ着くのは20時過ぎになりそうだ。ここからは、トイレ休憩以外は一切なしで、ノロノロと下田へと目指した。

舟盛り

金目鯛の煮付け

目指す民宿を見つけるのも一苦労だった。宿は下田の市街地から少し離れた田牛(とうじ)という名の海沿いの街にある。陽はとっぷりと暮れ、あたりは真っ暗。カーナビでちゃんと住所指定したのに、それらしきものが見えない。恥ずかしながらも、宿の主人に途中まで迎えに来てもらい、そのテールランプを追いかけた。ネットで見つけて何とはなしに予約したのだが、これが大当たり。部屋の畳表ははりかえたばかりで大型10畳、水回りもきれいだし、さらに食事が最高だった!舟盛りに、金目鯛の煮付け、サザエの壺焼、海老フライと、これでもかと、海の幸がテーブルいっぱいに並べられていく。うわ、こんなの食べ切れるかと思いながらも、美味しいものはいくらでも食べられる。箸を止めることもなく、ただし舌では麗しい味をしっかりと記憶へと刻み込みながら平らげた。

龍宮窟

サンドスキー場

翌朝は、宿の主人に勧められるがまま、昨日迷った道を逆戻りした。昨夜は周囲に何があるのやらまったく分からなかったが、ここ田牛はなかなか。海を遮る岩山に「龍宮窟」と書かれたゲートが立っている。何やら安っぽい。岩をそのまま削りだした荒っぽい造りの階段を降りていくと、まずは岩だらけの浜が目に入る。そして、その先には巨大な海坊主がパンチして岩山を叩き抜いたような穴がぼっかり口を開けている。さらに、見上げてみると、海坊主が上から踏み抜いたような穴から、真っ青な空が広がっている。地球以外の星に突き落とされたような気分になる。しかし、奇妙で美しい。これぞ奇観だ。
田牛には、他にもなぜか崖にこんもりと砂が積まれたサンドスキー場なるものもある。砂まみれになって楽しむ、スリル満点のスキーだ。傾斜も30度と半端じゃない。スピードも凄い。ただし、リフト何てものはないので、一度降りたら自分でトボトボとソリを持って上がらなければいけないのだが…。

田牛から、さらに伊豆の南端である石廊崎へと向かう途中、菜の花畑を見つけた。こちらには無数の花が連続して、黄色い海が広がっている。風に揺れると、葉や茎が緑の波を立たせ、そして花の香がゆったりと漂ってきた。

遊覧船

断崖

石廊崎は伊豆の南端、果てにある。ここでクルマから遊覧船へと乗り換えた。ここの楽しみは、海からの絶景鑑賞に加えて、大根島という岬から少し離れた小島にいる猿への餌やりだ。乗船前に、餌用のサツマイモを5切れほど(100円)を買う。少しでもたくさん投げたいと思い、さらにそれを15切れほど細かく、手で割っておいた。
船は恐らく定員いっぱいの乗客を詰め込んで、港を出た。予想以上にスピードを出すし、揺れる。ちょっと酔いそう。しかし、そんな気分を忘れさせてくるのが、あっちにもこっちにもせり出している断崖だ。なぜか、昔から崖を見るのが好きなのだ。長年の浸食によって削られただの何だのはどうでも良い。うわーすげー、触ってみたい、でかい、だの思ってるだけで充分に楽しいのだ。

船内アナウンスが、いよいよ猿の惑星ならぬ猿の島、大根島へ近づいたことを知らせてきた。猿だらけと言いたいところだが、意外と少ない。5、6匹しかいない。さらに、さっき変にサツマイモを小さく砕いたおかげで、船から岩場にいる猿へサツマイモを投げても届かないのだ。ドボン、ドボンとサツマイモは消えていく。あぁ悔しい。焦っているとさらに、サツマイモは海へ落ちていく。子ザルが恨めしそうに、それを見つめている。さすがに、海に飛び込むことはしないようだ。そして、船は徐々に島から離れていく。手元には、いくつかサツマイモが残ってしまった。

船は30分ほどで港へ戻り、またサツマイモを手に握った観光客を乗せていく。あの猿たちも、幸せものだ。労せずして定期的に餌を与えられるのから。どういう経緯で、あの島に猿が住み着いたのか分からないままだったが、大そうな猿知恵?だ。

帰りもまた、渋滞だった。伊東のシャボテン公園に着いたのは14時過ぎ。大慌てで、見てまわりとっぷり日の暮れた伊東を出て、東京へ帰ってくると日付も変わっていた。


※この記事は2009年4月07日現在の情報です

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