クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.032

タイムズから行く、江ノ島小旅行

クルマで遠足Vol.032「タイムズから行く、江ノ島小旅行」

いくら暖冬だと言っても、冬場のドライブは行き先に困る。ガイドブックをパラパラめくったり、地図を眺めても、なかなか行き先が見つけられない。そんな時に、タイムズ駐車場検索をみていると、ようやく見つけた。江ノ島だ。湘南の代表的な観光地ということで、完全に夏のイメージが強い場所だが、別に泳ぎたいわけでもないし、江ノ島を外から眺めたことがあっても、島内に入ったことはなかったのも理由のひとつ。それに、新江ノ島水族館もある。クルマなら都内から1時間ほど。ちょっとしたドライブにはうってつけだ。

コートを着ていると暑く感じる昼下がりに、タイムズ湘南江ノ島駅前にクルマを置いた。湘南モノレールの駅前駐車場だ。町のイメージは「えっ?ここが湘南」といった感じ。ちょっとした商店街があり、歩いている人も観光客ぽくない。それに、江ノ島はここからはまったく見えない。適当にあっちの方かと目星をつけて歩くと旅館や、海鮮料理店などが目についてきた。「それっぽくなってきた」なんて思っていると、目の前に奇妙な建物が現れた。竜宮城のような赤塗りの建物。近づいてみると、それは小田急線「片瀬江の島駅」の駅舎。江ノ島に浦島太郎伝説があるかどうか知らないが、ちょっと飛躍したイメージ。一度建ててしまったものだし、これはこれで大事にしてもらいたい。

ここから少し行くと、江ノ島が見えてきた。海にぽっかりと浮かぶ、樹木に覆われた小島。案外、珍しい光景かもしれない。そして、富士山もよく見える。これは確かに景勝地として有名になるわけだ。とりあえず、島に渡るのは後回しにして新江ノ島水族館に足を運ぶことにした。


1954年にオープンした江の島水族館は、日本の水族館でも草分け的存在で、今では各地の水族館で行われているイルカショー、アシカショーは、この江ノ島水族館が始めたもの。2004年に新江ノ島水族館としてリニューアルオープンし、今に至っている。

館内に入って、まず驚かされるのが大水槽だ。高さ9m、水深6.5m、底面積144m2の巨大水槽は、水族館が面している相模湾の生態を再現したものになっている。頭がエイ、体がサメのようなシノノメサカタザメ(本当はエイの仲間)、エイ、アジなど90種類約2万匹の魚たちを見ることができる。その中でも見どころは約8,000匹におよぶマイワシの大群だ。まるで、ひとつの個体のようにみな同じ方向を見つめ、うねるようにして水槽の中を泳いでいる。本当にこれは圧巻。スーパーで3匹くらいまとめて売られているイワシからは、とても想像できない姿だ。

水槽は高い位置から眺めたり、海底付近から見上げることができるので、水深によって違う魚を観察できる。どの魚も激しく泳ぎまわっているのかと思いきや、岩場では、案外のんびりやっていたりもする。そんなところが、とても自然で魚たち本来の暮らしぶりが覗けて楽しい。他の水槽では、意外と知られていない相模湾に生息している赤や青、黄色のサンゴが展示されていたり、身近な海の知らない世界を知ることができた。

ほかの見どころは、新江ノ島水族館が長年研究してきた成果と言える「クラゲファンタジーホール」だ。クラゲの体内をイメージした半ドーム式のブルーの空間には、約15種類のクラゲが漂っている。何か目的がありそうで、ないような、実は深いことを考えていそうで、いないような、改めてクラゲを見てみると、不思議な感じがする。地球上の生物でなく、まるで宇宙からの使いのようだ。ところが、このクラゲ最近では癒し系生物として女性から人気があるそうで、この日もたくさんの女性が熱心に水槽を見入っていたのが印象的だった。
他にもダイナミックなパフォーマンスが魅力的なイルカとアシカのショー、全長3mもあるタカアシガニ、竹筒に入ったアナゴ、深海生物の展示など、本当に見どころを数えるときりがないほどだった。

イルカとアシカのショー

水族館を出てみるとちょっと陽が傾いている。これは、まずいと思い、早歩きで江ノ島へ続く弁天橋を渡った。メインの通りは、頂上付近にある八坂神社の参道になっている。サザエの壺焼や、団子などがとても食欲をそそってくる。他にも、ずいぶん古いおもちゃを昔ながらのまま売っているお店や、老舗旅館の建物を見ているだけでも面白い。

ところが頂上へはまだまだ。ちょっとお金がもったいないかなと思ったが、有料のエスカレーター「江ノ島エスカー」を使って頂上へ向かった。料金は200円。歩くと20分くらいかかるところをエスカーならわずか4分で上がれるそうだ。上りの一方通行で、カタカタと音をたてて背の低いトンネルの中をのぼっていく。外の景色を見られないのはもったいないが、それは階段で下りるときで良いだろう。本当に呆気ないほどで、頂上へ着いた。

頂上にはさらに上から遠くまで見渡せる、江の島展望台がそびえ立っている。展望階までのぼると、本当に素晴らしい景色が広がっている。湘南全てを見渡すような一大パノラマだ。夕暮れに染まっていく海岸線と広い空。ここでしか見られない風景が広がっている。隣の外人さんもいたく感動しているようだ。僕も、彼に負けじとシャッターを切りつづけ、溜息をついた。
2、30分空を見つめていると、太陽に代わり月が顔をのぞかせ、江ノ島の一日は終わりを告げようとしていた。参道の店もシャッターを降ろして、また明日に備えるようだった。


※この記事は2009年1月06日現在の情報です

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