クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.024

タイムズから行く、宇都宮小旅行

宇都宮に、こんなところがあるなんて知らなかった。「陸の松島」。お坊さんは、ここ宇都宮の大谷(おおや)をこう紹介した。宮城県の松島に行ったことはないが、確かに言い得ている。肌色の岩肌をむき出しにした山があちらにもこちらにもそびえ立っている。まさに絶景。いや奇観というべきか。

最初に思わずクルマをとめて立ち寄った大谷景観公園で、この岩山を間近に見ると、本当に圧倒された。大きく切り立った岩肌は牙をむくように、こちらに迫ってくる。そして、その隙間からアクロバットのように木々がしがみつき、枝を伸ばしている。
しかしよく見ると、崖には人の手で削り取られたとわかる直線的な穴が口を開けている。これらの岩山は、採掘の対象となっている大谷石でできているのだ。
大谷石は、私たちに馴染みの深い石だ。少し青みがかった肌色で、一般的な住宅の塀や門柱、そして宅地の土止めの壁として使われている。最近は少なくなってきた気もするが、私などは子どもの頃、この石で道路に落書きをした記憶がある。それらすべてが、ここ大谷から採掘されたものだったのだ。

採掘は地表に出ている岩山を削るというよりは、地下から掘り出している。その採掘現場跡を見学できるのが大谷資料館だ。まずは、資料室で歴史などの展示を見学する。大谷石は、明治時代から本格的な採掘が始められ、現在でもその生産量は70万トンを誇っているという。機械化されたのも戦後からのことで、それまではツルハシを振るって定型(15×30×90cm)の大きさに切り出し、70kg以上もの大谷石を背負って地表まで運んだそうだ。そして、それら大谷石は日本全国にいきわたり、有名なものでは旧帝国ホテル(現在は玄関部分を明治村に保存・移築)の建材として用いられたそうだ。
これらの歴史にも感心したのだが、地下への扉を開いた先は想像以上だった。

まさに地下帝国に迷い込んだかのようだ。広さは東京ドーム並み。天井はゆうに10m以上。中央の回廊を中心に、あちらこちらに体育館のような空間が広がっている。鍾乳洞のような自然の造形でなく、人の手で四角く切り出していったため床や壁はまっすぐで幾何学的だ。つまりとても人工的なのだ。戦中は軍事工場として使われていたこともあるのだから、実際に地下帝国だったとも言えるかもしれない。中はひんやりとしていて、年間の気温はほぼ10度前後と一定している。そのため、戦後は政府米の備蓄にも使われたそうだ。また、現代ではその音響効果の良さを活かしてコンサートやファッションショー、展覧会などが催されているそうだ。

宇都宮には、この大谷石を使った建物が多い。立派な大谷石で造られた土蔵などがそこかしこで見つけられる。中でも有名なのが、大谷観音と松が峰教会だ。波打つ大谷石の崖下にある大谷観音の本堂。そして、写真撮影はできなかったが本堂奥に佇む1200年も前に崖に刻まれた千手観音の美しさは圧巻だった。

松が峰教会は、この大谷エリアから数キロ離れた東武宇都宮駅近くにある。大谷石で造られた建築物としては日本最大。教会としても、かなり大きく立派な部類だろう。宇都宮の繁華街からヨーロッパに迷い込んだかのようだ。空へと伸びる2つの尖塔、大谷石が持つやさしい風合い。いつまでも、この教会を見ていたいと思える素晴らしい建築物だった。

ここ宇都宮で忘れてはならないのが餃子。市内に無数にある店舗をめぐるのも良いが、手っ取り早く色々な店の味を楽しむなら、長崎屋宇都宮店にある「来らっせ」に行くのが良い。市内の有名店の味を一気に味わえるのだ。豊富なメニューの中で選んだのは「飯店餃子」「味一番」「来らっせ」の3店舗の餃子。「飯店餃子」「味一番」は、餃子らしいオーソドックスな味わいで、とても食べやすくてホッとする感じ。残る「来らっせ」の餃子は、見るのも食べるのも初めてのカレー餃子。カレーのかかったご飯の上に餃子がドンとのっているのだが、これがなかなか。醤油の代わりにカレーをつけて、食べる感じ。自分でも、ぜひとも試してみたいと思えるアイディア餃子だった。

お腹がいっぱいになったところで、外に出てみるとちょうど夕方。東京からわずか2時間ほどの宇都宮。うまい餃子に、驚きの地下帝国、発見の多い有意義な一日を過ごせた。


今回のドライブコース=宇都宮へ=


首都高~東北道鹿沼IC

オオキの「これだけは言わせて!」

クラウン・ハイブリッド

ボディカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン
車両本体価格619万円

今年デビューした13代目のクラウン。その中でも一番の注目を浴びたのが、クラウン・ハイブリッドだ。GAZOO.comによると「4.5 車クラスの動力性能と2.0 車クラスの低燃費を両立するFR専用2段変速式リダクション機構付のハイブリッドシステムを搭載し、環境に配慮しながら、パワフルで滑らかな加速感を提供してくれる」とある。

と言っても、難しいので実際走った感じたところでは、クラウンのイメージを崩さないマイルドな走りといったところ。静かでありながら、ここぞという時の加速はとてもパワフル。どんなシチュエーションでも、心地良いドライビング感を提供してくれる。

気になる燃費は、リッター11~12km前後といったところ。「4.5 車クラスの動力性能と2.0 車クラスの低燃費を両立」という文句に嘘はないといってよいだろう。
インテリアでは、前面TFT液晶モニターが目をひく。視認性も高く、タコメーターとスピードメーターの間に、ナビと同じ走行車線の表示が出るのは、とても便利だ。
初代となるクラウン・ハイブリッド。買える、買えないは別にしても、要注目の一台であることは間違いないだろう。

※この記事は2008年9月02日現在の情報です

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