クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.005

トヨタ ヴァンガードで行く、茨城・奥久慈

思い出したくもない暑さと秋の長雨も去り、紅葉の時期が近づいてきた。春に可憐な花を咲かせていた桜の木も、葉のふちから少しずつ色づき始めだしている。予報によれば、関東地方の紅葉はまだまだ先のようだが、秋が深まればきっと美しい紅葉が見られそうなスポット、茨城県北部の奥久慈へトヨタのヴァンガードで向かった。

奥久慈は、関東南部ではあまり知られていないかもしれないが、茨城県はもちろん、お隣の栃木県、福島県では有名な茨城県北部の観光スポット。なごやかな田園風景と緑豊かな山々、清らかな川が日本の原風景を思いださせる。

東京から首都高を経て常磐自動車道を走り、奥久慈へ向かった。距離的にも160kmほどと、さして遠くはない。高速を降りてしばらくすると、ゆるやかな農村の風景が広がる。収穫を終えた田んぼには、落ちた稲穂でもついばんでいるのだろうか、数羽の雀がせわしなく首を動かしている。ポツポツと見える農家の軒先にはコスモスが可憐な花を咲かせ、すっかり熟れた柿が実っている。そして、農家の人があちらこちらで草刈りをし、その少し離れたところでは焚き火の煙が真っ直ぐ空へ上がっていた。

きっと昔からあった道なのだろう。国道349号の道幅は国道と思えぬほど狭くなり、対向車が来れば脇に避難しなければならないほどになった。途中のY字路を上がると、小さな土産物屋の向こうに、最初の目的地である竜神大吊橋が見えてきた。徐々に色づきだした谷の間を一直線に連なる青い橋。橋の両脇に聳え立つ主塔は、大きなウロコのような装飾が施され、まるで四頭の竜が橋を支えているかのようだ。

実際に橋を渡ると、大きさとともに高さを実感する。橋がかかる湖面から約100m。欄干から顔を出すと、怖いだの何だのを通り越して、現実離れした高さに爽快感すら覚えるほどだ。さらに、橋の中央にはガラス張りの床面があり、谷底を透かして見ることができる。ここばかりは、かなりの恐怖心を感じるが、設計者のちょっとしたいたずらのように思え、親近感を覚える。

欄干からあっちを覗いたり、こっちを覗いたりするうちに長さ375mの橋の向こう側にたどり着いた。改めて眺めるとなかなかの絶景だ。四方を囲む山々はところどころ色づきだしている。よくある杉の木だらけの味気ない山とは違い、雑木が思いのままに葉を伸ばす、生き生きとした山だ。この分なら、きっと紅葉もかなり期待できるはず。

そんなことを考えならぼんやりしていると「カラーン、カラーン」と鐘の音が谷中に響き渡った。カップルが少々神妙な顔つきで、小さなチャペルのような鐘の前に並んでいる。どうやら、愛を誓う鐘のようだ。竜に誓う永遠の愛。もしも裏切れば竜に食べられてしまうのだろうか。そんな昔ばなしがありそうな気がした。

吊橋の後は、北へと向かった。次は奥久慈のメインスポット、袋田の滝だ。ゆったりとした里山の風景から徐々に土産物店が増えてくる。土産物店に併設している駐車場の係員さんの手招きによって、そのままヴァンガードを駐車してしまうと、やはり知らないふりはできない。店員さんに勧められるがまま、奥久慈の名産であるこんにゃくを買い、そのついでに食事もいただいた。焼かれているとはいえ、2匹の鮎が皿から飛び出しそうな勢いだ。味もなかなか。川魚特有の清流の香りが身に染みわたっており、適度な苦味をそえている。やわらかにほぐれていく身をこぼさぬよう少しずつ口に運び、至福の味を愉しんだ。

袋田の滝に向かう途中には、徒歩専用の立派なトンネルがある。まるで首都高速みたいだ。大人でも「ワッ~」っとやってみたくなる。そして、耳をそばだてれば「ゴー」っと聞こえる。滝が流れる音だろう。大きな期待を持ちながら歩を進めると、目の前がパッと広がり真っ白な細い幾筋もの水線が視界いっぱいに広がった。高さは120m、幅は73mもあるらしい。滝といえば、ゴツゴツの岩肌の間を流れるイメージがあるが、袋田の滝は、まるでコンクリートで固められたようなつるつるの堆積岩の上を滑るように流れている。さらに、秋も深まれば紅葉を楽しめ、冬になれば凍結するという。西行法師が「四季それぞれに訪れてみなければ、その良さは分からない」と言ったのも分かるような気がした。

帰り道、たわわに実ったリンゴが秋の景色を彩っていた。離れのような即売所に立ち寄り、そこのおばあさんからリンゴを分けてもらった。お茶をいただきながら今日一日の奥久慈の旅を話しているうちに、とっぷりと日が暮れた。「こんなところに長居は無用だよ。さっさとお帰り」とせかされ、あわててリンゴを一袋買うと、気前よくひとつおまけしてくれた。そして、滝が凍る頃にまた訪ねることを約束して、僕はヴァンガードのハンドルを握った。


取材協力:トヨタ自動車 広報部
 http://www.toyota.co.jp/


今回のドライブコース =茨城・奥久慈へ=


首都高→常磐自動車道日立南太田IC→国道293号→国道349号→国道461号
◆片道料金3,700円
◆所要時間2.5時間

オオキの「これだけは言わせて!」

トヨタ自動車 ヴァンガード 350S

ボディカラー:シルバーメタリック
車両本体価格309万7,500円

チョイ悪オヤジとは言わないまでも、都会に生きる男性のライフスタイルにフィットするクルマ、ヴァンガード。基本的にはRAV4がベースになっているようだが、印象はかなり違う。切れ長につり上がったヘッドライトや、高級文具を思い出させるような流麗なシルエット。このデザイントーンはインテリアにもしっかりと引き継がれ、ホールド感のあるツートーンのシート、クロムメッキ処理をされたパーツ類など味わいのある空間を作り出している。

走りも今回乗った3.5リッターはかなりパワフル。思いのままどころか、思い以上に痛快な走りを披露してくれる。またボディの剛性感もかなり高く感じられ、安定感も十分だ。都会派の代表モデルとしてブレイクしそうなヴァンガード。団塊ジュニアあたりの憧れのモデルになるのは、間違いなさそうだ。

※この記事は2007年10月25日現在の情報です

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