クルマで遠足

クルマに乗って、出かける気軽な旅の記録。

Vol.001

トヨタ ヴォクシーで行く岐阜・郡上八幡の旅

長い道のりだった。東京から静岡の掛川に立ち寄り、東名を西へと走る。浜名湖、名古屋を経由して東海北陸自動車道へ。行きかうクルマも少なくなり、気がつけば一車線の対面通行になっていた。夕暮れとともに、山の中へ山の中へ進んでいく。タヌキかキツネに化かされても、おかしくなさそうだ。

こんなところに本当に人里があるのか不安になった頃、突如その街、郡上八幡は姿を現した。狭い谷の合間に、ビッシリと家が立ち並んでいる。山の中に現れた幻のようだ。わずかに残ったオレンジ色の陽光と、電球のやわらかな黄色い光が不思議なバランスで調和している。東京では感じることのない、妖艶な空気が漂っている。

民宿に荷物をおき、夕食を食べながらおかみさんに今夜の「郡上おどり」について聞いた。おどりは7月から9月にかけて30回ほどおこなわれるそう。会場も街の中を巡り、場所を変えていく。今夜は駅前の広場とのことだった。
民家や商店からこぼれる光、街灯もあるにはあるが道は暗い。そして静かだ。道脇を流れる、用水路の音だけが耳に入ってくる。道には会場へと誘うように、手描きのちょうちんが置かれていた。

祭囃子が聞こえてきた。胸騒ぎがする。足を早めた。屋形の周りをすでに四重、五重の人が囲んでいる。少し躊躇したが、踊りの輪に入った。足を蹴りだし、手を叩き「春駒、春駒」と声を上げる。汗が流れた。数曲、続けて踊ってみた。ビール片手に、改めて外から見物してみるとお踊りの輪は、どんどん膨らんでいく。この小さな町のどこから、こんなに人があふれてくるのだろうと、不思議になるほどだ。老若男女問わず、一心不乱に踊っている。屋形の上で奏でられる唄、三味線、笛も素晴らしい。こんな美しい夜が、ほとんど毎晩のように続くなんて信じられない。まして、お盆の間は、徹夜で踊り続けるそうだ。それでもこの日の踊りが終わったのは、10時すぎ。みな少し放心したような顔で、思ったよりも静かに広場を離れていった。宿に戻り、床に入ってからも、まだ祭囃子が頭の中で鳴っている。まだ踊っているような心地だった。

郡上八幡の朝は早い。まだ7時すぎだというのに、人の気配を感じて目が覚めた。朝食を食べた後、街へ出た。おどりの後、疲れた体を引きずって歩いた郡上八幡は、夏の光を受けて違う姿を見せていた。中心部を流れる吉田川は、鮎釣りのメッカで、すでにたくさんの太公望が糸をたらし、子供たちが川遊びをしている。山を背にした吉田川沿いの古びた民家は、敷地の狭さをカバーするためだろう3階建てが多く、隣家の隙間がないほど、みっちりと並んでいる。そして、どこの家も格子戸を開けたままで「みせ」と言う玄関先に、自転車や雪かき、子供の遊び道具などが見つけられる。その奥では、家族で甲子園でもみているのだろうか、歓声が聞こえる。昭和の風景と営みを垣間見ているようだ。

どこもかしこも、記憶にとどめておきたくなる風景が続く。モノクロ写真でしか見たことのない、風景が現実になったかのようだ。夏の強い陽射しも気にならない。名水の誉れ高い「宗祇水(そうぎすい)」で喉を潤し、川底が透けて見える吉田川に足をつけた。
鮎の定食を静かな和食店で食べた後、街を見下ろす郡上八幡城へ向かった。東京・青山の地名の由来となった青山家が江戸時代中期から城主を務めた郡上八幡城は、小高い丘の上に建つ典型的な山城だ。空と緑の木々の中に真っ白な天守閣がそびえ、品の良さを感じる。ゆっくりと天守閣の最上階へ上がると、さっき歩いた街並みがすべて見渡せた。ゴチャゴチャしているけれど美しい。これが、本当の日本じゃないのか。郡上踊り、街並みと暮らし、すべてが愛しい。郡上踊りは、国の重要無形民俗文化財になっているが、この街すべてが日本の宝物だろう。


今回のドライブコース =岐阜・郡上八幡の旅=


首都高→東名→伊勢湾岸→東海環状→東海北陸
◆片道料金9,500円
◆所要時間5.5時間

オオキの「これだけは言わせて!」

トヨタ ヴォクシー ZS

ボディカラー:ダークバイオレットマイカメタリック(グレー)
車両本体価格2,457,000円

東京~掛川~郡上八幡の一泊二日の旅をともにしたヴォクシー。往復走行距離は約900km。燃費は最終的には12km台をマークした。ミニバンということもあり、道の細い郡上八幡では、多少の緊張を強いられたが、バックモニター、サイドモニターもついているので問題はないだろう。

シートアレンジも、もちろん多彩だし、収納スペースなどもかゆいところに手が届く感じで、かなり使いやすいと思った。三列目シートは、大人が長時間乗るのは、ちょっとキツイと思われるが、家族や友人をちょっと駅まで送ったりするぐらいなら、充分だろう。

旅行や日常の生活シーン、いろいろなところで期待通りの使いやすさを発揮してくれそうな新型のヴォクシー。大切な家族の一員として認められる、みんなのお気に入りの一台になってくれるのは間違いないだろう。


取材協力:トヨタ自動車 広報部
 http://www.toyota.co.jp/

※この記事は2007年8月27日現在の情報です

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