
過ごしやすい春も終わり、ジメジメとした梅雨、そして暑い夏がやってきます。この時期は、近年特に毎年マスコミを賑わしている「車内熱中症」のシーズンです。ほんの少しの油断が、幼い子供を犠牲にしてしまい、そして取り返しのつかない後悔を一生しなければならない、それが「車内熱中症」の恐怖です。
そこで、2007年4月26日、ロードサービスで有名なJAFがユーザーテストの一環として、「春の車内温度」テストを埼玉県の河川敷の公園で行いました。今回はそのレポートをお伝えします。
テストは朝5時から開始され、日没の1時間前、18時まで記録されました。実験当日、日の出直前の気温は約6度、最高気温は約23度。途中、最高気温を測定した13時過ぎから曇り始め、14時半過ぎには、にわか雨が降り出すという一般的な感覚では、熱中症の危険性を感じることはない穏やかな1日でした。しかし、テスト結果は「車内熱中症」の危険を警告していました。
穏やかな気温23度の中に放置された車内温度は、最高でダッシュボードの約70度。室内の温度は約49度にも達していました。また、車内に放置されたダミーの皮膚温度は約45度にもなりました。
この日の実験結果を詳しくみてみると、日の出直後の6時過ぎに外気温と車内温が同じになり、緩やかに上下を繰り返しながら上昇して行く外気温は春らしい1日かと予想されました。しかし4時間後の10時には外気温20度に対して、密閉された車内温度はドンドン上昇して行き40度を超え、外気温と20度の差が出ていました。この日は日差しも決して強い方でなく、時折曇ったりしながら気温は上下しながら上昇していくのに対して、車内温度は上昇し続けました。
過去のデータを参考にすると、晴天の最高気温約22度のとき、車内温度が1時間で約47度まで上がった報告もありました。ここで特に注意しなくてはいけないのは、人間は元々体温があるということです。約37度の人の体温は、数分で40度を越えてしまいます。まして小さな子供では熱の上昇が大人よりも速いということです。
車内熱中症の一番怖いのは、大人の「ほんの少しの油断」です。「ちょっとだから…」「寝ているから…」「窓を少し開けて換気をしてあるから大丈夫」、これらは全て油断です。数センチ窓を開けておいても、車内温度はあまり変わらないという実験結果も出ています。数分前までリアシートでかわいい寝顔をしていたわが子が、そのままの姿で亡くなっていることが現実に起こってしまうのです。
今回の実験はまだまだ熱中症の危険を感じられない春にあえて行われました。それでもダッシュボードに置かれた缶飲料は破裂してしまいました。決して車内に子供は置いていかない、目を離さない。それだけで、「車内熱中症」は防げるのです。
■熱中症とは
熱中症とは暑熱環境の中で、スポーツや労働を行うことで体内の温度が上がり、やがて通常の体温調節が出来なくなり、体温を維持するための生理的な反応により生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの連続的な病態とされています。
■症状
I度 手足や腹筋などの筋肉に痛みを伴った痙攣(こむら返り)や失神(数秒程度)。
II度 めまい・疲労感・虚脱感・頭痛・吐き気・嘔吐・失神などが重なって起きる。
III度 意識障害やおかしな行動言動や過呼吸・ショック症状がII度に重なり起こる。そして死に至る。
(文・写真:橋本 玲)
※この記事は2007年6月19日現在の情報です