
いつの間に梅雨が明けていたのだろうか。フロントガラスの向こうから、強い日差しが差し込んでいる。久しぶりにサングラスを取り出した。少し、アクセルを踏み込むと気分が高まる。ロボットに変身するこのクルマのCMの気持ちが理解できて、ひとり笑いしてしまった。山の中を走り続けるカーブばかりの中央道も縦横無尽。それが、デュアリスだ。
都心から昇仙峡の最寄ICである甲府昭和までは、約2時間ほどだった。ここからは、南アルプスの山々へ向かって北へと走る。すれ違うクルマも少なくなり、山並みがぐんぐん近づいてくる。セミの鳴き声に包まれた夏休みらしい長閑な風景だ。しばらくして昇仙峡の入り口である風格のあるアーチ型の長潭橋(ながとろばし)を渡ると、みやげ物屋や食べ物屋が数軒並び、そして、名物のトテ馬車がおとなしく客を待っていた。ちょうど昼時、まずはここで一休みしてから、さらに上流の昇仙峡へ向かうことにした。
「冷やし、お待たせ」。威勢よく運ばれた平打ちの冷やしうどんに、かき揚のセット。暑いときには、やっぱりこれが一番だ。座敷の向こうに流れる清流を眺めながら、箸を動かした。口から喉へするりするりと、うどんが流れていく。水がキレイだからか、上品な味わいだ。そして、揚げたてのかき揚げを食べると、精力がみなぎってくる。
店の人に聞くと、昇仙峡のクライマックスである仙娥滝まではクルマなら20分程度。歩いても1時間~1時間半くらいということだった。さらに、ゆっくりと景色を楽しむなら、歩きが良いとのこと。まだまだ時間はありそうだ。デュアリスには悪いが、歩いてこの景色を楽しむことにした。
遊歩道から眺める荒川は、まさに奇岩のパラダイスだ。オットセイ石、ラクダ石、猫石、松茸石、とそのネーミングはエスカレートしていく。確かに言われてみればそう見えるものもあるが、かなり無理があるものもある。しかしとても微笑ましい。きっといくつかは、地元の観光協会の人か誰かが、エイヤッと付けたに違いない。途中、先のトテ馬車用の水飲み場があったり、可憐なユリの花を見つけたりと、小さな発見も多く、飽きることもない。さらに、昇仙峡の名物である石を売る店では、1mくらいの玉鹿石(ぎょくかせき)やひすいの塊が300万円、800万円という値段で野ざらしのままに売られている。石にどれだけの価値を認めるかなんて、人それぞれ。これはこれで適正価格なんだろう。
額から汗が流れ、ちょっと休憩したくなったころ、左手に覚円峰(かくえんぽう)という見上げるほどの断崖の岩山が現れた。まるで、中国あたりの秘境にやってきたかのようだ。白い岩肌に、松の木が隙間をぬうように根付いている。これぞ奇勝だ。そして、巨大な花崗岩に囲まれた石門をくぐり階段を登ると、仙娥滝にたどり着いた。数日前に降った雨のおかげだろう。30mほどの高さから、真っ白な絹のような水が勢いよく滝つぼへと吸い込まれていく。そして、滝つぼの水は今まで歩いた渓流へと流れていく。自然のパワーを改めて感じる眺めだった。
仙娥滝沿いの階段をさらに登ると、予想以上にひらけていた。昇仙峡で採掘された石を使ったアクセサリー店や、イワナを焼く店など、昇仙峡ならではの店が立ち並んでいた。その先にはロープウェイがある。往復1,000円とそれなりの値段はするが、終点のパノラマ台駅を降りると、その価値が十分にあるのことが分かった。うす曇りだったが、南アルプスの山々の連なりは圧倒的だ。どこまでいっても、どこをみても山、山、山。改めて、日本は山ばかりの国だということに気づいた。そして、その山の合間に生まれた昇仙峡の類まれな景観。遠くではヒバリの声が聞こえる。帰りのロープウェイまで、まだ時間はある。もう一服しておこう。
首都高 中央道甲府昭和IC
◆片道料金 3,700円
◆片道所要時間 2時間
日産が欧州で開発・生産しているデュアリス。そう言われみると、何か変わった雰囲気を持ったクルマだ。顔つきも、ちょっと最近の日産車とは違い、フロントグリルの存在感が大きい、ちょっとイカつい雰囲気。しかし、それでありながらボディのラインは、練りに練られたことが分かる、美しい流線型を描いている。
サイズ的には、全長が4315mmと比較的コンパクトながら、全幅は1,780mmとワイドなボディ。タイプで分ければSUVとなるのだが、オフロードでの走行はあまり意識しない、都市型のSUVと言えるだろう。
走りも、かなり洗練されていて、最高出力101kw(137ps)/最大トルク200N・m(20.4kg)というスペック以上のパワーを感じる。足回りもほどよく硬く、ワインディングにもしっかりと対応し、心地よい走りだ。
大人の男性が好むクールなインテリアで、気持ちが良くドライビングに集注できる。シートのホールド感も心地よく、さすがヨーロッパからの逆輸入車だと唸らされてしまう。
全体的にかなりの好印象を持ったデュアリス。これで価格も200万円台前半と、それなりに抑えられている。これからのSUVの新たな価値基準になりそうなクルマだ。
取材協力:日産自動車 広報部
http://www.nissan.co.jp/
※この記事は2007年8月06日現在の情報です