
スバルのミニバン「エクシーガ」の登場は大ニュースと言っても過言ではない。スバルのミニバンと言うと、これまではオペルから供給を受けて販売をしていた「トラヴィック」があったが、今回のモデルはスバル製。エンジンは水平対向4気筒2Lターボとノンターボの2タイプがあり、今回ノンターボモデルには10年ぶりとなるFF(2WD)モデルを採用しているというのもニュース。そしてこのエクシーガは実にスバルらしく、かつ新鮮なモデルなのだ。
まず他メーカーと大きく印象が異なるのが運転席の視界の広がり方だ。着座位置が高めなのは他車と同じだけれど、視界に入る構造物が少なくガラスエリアの広がり方が違う。ポイントはフロントウインドウの左右にあるピラー(柱)が細く保たれ、死角が少ない上にダッシュボードの奥行きも乗用車並みに短いところ。おかげでボンネット前端までの距離感も掴みやすく、目の前にはごく自然に広い視界がズバッと広がる。ガラスエリアをもっと広くし開放感を求めるのであれば、ガラスルーフも選べる。
それからエクシーガはスバルらしい走りにもこだわり、3列目シートに乗る人にも優しい乗り味とハンドリングを持っている。例えばエンジン。アクセルを踏み込んだときのパワフルさを求めるのなら2Lターボがおすすめだが、ノンターボでも十分な加速やボリューム感、アクセルレスポンスの明快さを持ち合わせている。また足回りは硬く踏ん張るタイプではなく、タイヤからの入力を4輪それぞれでしっかりと受け止め、フラットな姿勢を保つタイプだった。そこで、3列目の乗り心地も不快ではないし、コーナーだってスイスイとクリアしていける。このようなチューニングが極めてマジメに上質なものに仕上げられている点もスバルらしい。ちなみに2Lターボモデルには3タイプのアクセルレスポンスが選べる"SI‐DRIVE"を採用したGTグレードもある。
最後に5ドアタイプのエクシーガはシンプルながら実用的なスペースとパッケージングを優先的に採用しているようだった。きちんと大人も座れる3列目シートへのアクセスもシートアレンジのし易さも平均レベル。そこでどんな風に乗りたいか、使いたいかをイメージしながらエクシーガを試乗すれば、他メーカーとは違う新鮮なミニバンの魅力が感じられるはずだ。
一見は、背の高いレガシィだと思ったエクシーガだが、見ると乗るとじゃ大違い…。
クラス的にはミニバンになるが、ミニバンほどの"ごっつさ"を感じさせない点がいい。つまりは、ワゴン感覚のまま大きくなった感。いいのは運転席からの眺めで、フロントガラスの角度が丁度いい。これを通称Aピラーの角度ともいうが、ガラスが寝ていると見た目にはカッコいいが、右折や左折時にAピラーの斜め前方視界を遮る可能性が高い。エクシーガは、ガラスが必要以上に寝過ぎてないから、Aピラーによる死角ができにくい。ま、こんなところはクルマの基本中の基本だけれど、最近はスタイル重視で、その基本が後回しになり場合が多いなかで、エクシーガは実用性を最優先したということだ。
室内の広さ、特に3列めはオトナも納得の広さと、畳めばワゴンの荷室に早変わりだが、2列めを倒せばマウンテンバイクも呑込む長さと高さを確保する点はワゴン以上。
走りで注目は高速の安定性だ。「高速道路は飛ばさないから関係ない!?…」。いやいや、ヒトと荷物を満載して高速道路や山道を行く場合に、高速走行でも安定するアシ回りを持っていないと怖い思いをする。そこはエクシーガ、自慢の4WD(FWDもあるが)と、特にリヤサスペンションの接地感と安定性が、コーナーを速いペースで行っても安心の安定性を披露する。クルマは走ってこそナンボ。だが、エクシーガはレガシィとはひと味違った顔立ち(マスク)も新鮮でいいじゃないか。
ミニバン全盛のこのご時世、いかに走りにこだわるスバル党とて、家族のことを考えるとワゴンではカバーしきれないニーズがある。スバルらしい走りを備えた3列7人乗りミニバンこそ、家族持ちのスバル党待望のクルマ。そういう意味では、エクシーガはまさに待望のニューモデルといえる。
ミニバン専用プラットフォームを持たない富士重工だけに、エクシーガはフォレスター/インプレッサ系がベース。この"お家の事情"がむしろ幸いしている。
レガシィより80mm長いホイールベース上にパッケージされた室内空間は、再後発だけにほとんどの点でライバルを上回る仕上がり。ゆったりと余裕のある2列目シート、ウィッシュ/ストリームよりちゃんと座れる3列目シート、ワンタッチで3列目シートをダイブダウンできる使い勝手のいいカーゴルームなど、きちんとライバル車を研究して模範回答を出してきている。
その上で走りが素晴らしい。前述のとおり、エクシーガのプラットフォームはフォレスター/インプレッサと共通なのだが、これはミニバンの標準ではとても贅沢な足まわりを備えているということ。
じっさい、走ってみるとその乗り心地やハンドリングの質感の高さは歴然。これに乗っちゃっうと、普通のミニバンの足がいかにレベルが低いか、一目瞭然でわかってしまうほど走りのクォリティが高い。
もちろん、エクシーガにも弱点はあって、NAの4速ATやそれによって足を引っ張られる燃費性能などは要改善だし、ターボも本当に必要な車種だったのかは疑問が残る。だが、これだけ走りの質を高めたミニバンが200万円から買えるというのは素晴らしいのひと言。ミニバンの走りに不満を感じてる人には、まさにうってつけのニューモデルと評価したい。
ワゴンに定評のあるスバルが満を持して送り出してきたのがこのエクシーガ。2×3×2は他メーカーにもあるシートレイアウトだけど、セカンドシートは割り切って2人掛けとした方が快適だ。センターのシートベルトが2点式ということを見ても、スバルもそう考えているようだ。
基本ラインナップは2リッターNAと2リッターターボの2機種だがボディは3ナンバーサイズ。まずはそぼ降る雨の中、NAで走ってみた。高速流入時の加速やキツい登りでちょっとだけ力が足りないような気はするけれど、一旦スピードに乗ってしまえばかなり快適。遮音もしっかりされていて、ある意味スバルらしくない。そのあとターボに乗るとやはり気持ちよさが沸き上がる。7人乗りのファミリーカーにターボの力強さは要らないかもしれないけれど、大勢で乗って峠道を走るなんていうシチュエーションでは有効だろう。でもそれにしてもそんな機会は滅多にある事じゃないだろうから、NAで十分という気がする。
3列目の居住性はまあまあのレベルで、ちょっとしたドライブなら問題はなさそう。高めの着座位置と広いガラスルーフ(op.)で見晴らしも良く開放的だ。家族で、また気の合う仲間とわいわいワンディドライブなんかにはもってこいのサイズだ。今のご時世、ミニバンでは大きすぎるしもったいないと考えているなら、これは勧められる1台だ。
つくづくスバルってヤツには驚かされました。まさかこんなに個性的なミニバンになちゃってるとは…。おおざっぱに90年代のホンダ・オデッセイに端を発する日本のミニバン界。以来、10数年が過ぎ、スタイリッシュなものから走りのいいもの、あるいは室内スペースに特化したものまでいろいろ出て"やり尽くした"感すらある中、スバルとしては初のマトモな3列シートをやっと出したわけだけど、ホントに個性的。三つ子の魂百までも点とはよく言ったもんです。
まずはスタイル。今時、みんなワンモーションフォルム化したデザインが多い中、「これホントにミニバンなの?」っていいたくなるくらいにノーズを強調してます。要するにレガシィスタイルなんだけど、ことのほか個性的。
それから室内空間。シートがどれもしっかりしていて、3列目まで座り心地がいい上、妙に視界がいい!実際、座ってみると「このクルマ、いったいなんなんだろ?ミニバンかな、ワゴンかな」って迷うこと請け合い。
最後は走りよ。特にバランス的にケツの軽いFFモデルときたら…インプレッサ顔負け!まさしく"ミニバン界のスポーツカー"ってっ出来です。
こんなミニバン、ハッキリ言ってなかった。つくづくスバルの個性には敵いませんなぁ…。
※この記事は2008年8月05日現在の情報です